「親知らず」とよく聞くものの、どうゆうものを親知らずと呼ぶのかわからない人も多いです。
この記事では、親知らずとは何か、なぜ存在するのかという基本的な情報をお伝えします。そして、親知らずの抜歯に関する疑問や不安を解消し、歯科医師からの抜歯が必要かどうかの説明が理解しやすい医療情報をまとめました。
親知らずとは、痛い・腫れるといったネガティブな内容ばかりではなく、正しい情報を知れば前向きになれると思います。ぜひ最後まで読んで、参考にして下さい。
親知らずとは何か
ここでは親知らずの基本的情報をまとめましたので、参考にして下さい。
- 親知らずの定義と呼び名の由来
- 親知らずの生え方と種類
- 親知らずが生えない人の特徴
親知らずの定義と呼び名の由来
親知らずは、「智歯(ちし)」とも呼ばれ、正式名称は「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」です。一番奥に生える永久歯のことを指します。通常、上下左右の奥歯に1本ずつの4本生えます。
「親知らず」という呼び名は、親が知らないうちに生えてくるという説が由来です。親が子供の成長に気付いていない間に生えることから、この名がついたと考えられています。
親知らずの生え方と種類
親知らずはおおむね10代後半から20代前半頃に生え始めます。また、大きく分けて4種類の生え方があります。
- 真っ直ぐ生える: 正常な位置に真っ直ぐ生えている状態。問題なく機能し、虫歯や歯周病のリスクも低い。
- 斜めに生える: 隣の歯やあごの骨にぶつかって斜めに生えてしまう状態。虫歯や歯周病になりやすく、周囲の歯に悪影響を及ぼすこともある。
- 埋まっている: 歯茎に埋まったまま生えてこず、完全にあごの骨の中に埋まっている状態。虫歯や歯周病のリスクが高く、抜歯が必要になる場合もある
- 横向きに生える: 歯茎から横に突き出るように生えてしまう状態。歯ブラシが当たりにくく、虫歯になりやすいだけでなく、痛みや腫れなどのトラブルを引き起こすこともある。
親知らずが生えない人の特徴
親知らずは、全員に生えません。また、あごの骨が小さいためにあごの骨に埋まっている人もいます。
また、近年では進化の過程で不要になった歯という説があります。そのために、現代人は親知らずが生えない人が増えてきていると考えられているのです。
親知らずが生えない人の特徴をまとめると、以下の通りです。
- あごが小さい
- 歯並びが良い
- 親戚に親知らずがない人がいる
- 虫歯や歯周病になりにくい
親知らずの抜歯が必要な場合
親知らずは、生え方や位置が悪いと様々な問題を引き起こす可能性があるため、抜歯が必要になる場合があります。主な要因は以下の3つです。
- 虫歯や歯周病のリスクがある
- 周辺の歯に悪影響を及ぼすリスクがある
- 手術時期は若いうちがおすすめ
虫歯や歯周病のリスクがある
親知らずは、まっすぐに生えていない場合が多く、歯ブラシが当てにくいため、虫歯や歯周病になりやすいです。特に下の歯は神経や血管に近かったり、あごの骨に埋まっていたりすることも多く、虫歯や歯周病が進行しやすく治療が難しいのです。
虫歯や歯周病を放置すると、歯を失ったり、周囲の歯に悪影響を及ぼしたりする可能性があるため、早めに抜歯することを検討しましょう。
周辺の歯に悪影響を及ぼすリスクがある
親知らずは奥歯なので場所が狭く、横向きなど傾きが大きくなりがちです。そのような状態が続くと、周りの歯に圧力がかかり、歯並びの悪化や、歯が動いてしまう恐れがあります。
歯の矯正をする場合、親知らずのせいで歯並びが悪くなることもあるので、矯正前に抜歯する必要があるでしょう。
片方しか生えていない場合、反対側の親知らずも生えてこない可能性がありますので、早めに抜歯することが望ましい場合もあります。
手術時期は若いうちがおすすめ
親知らずの抜歯は、若いうちの方が骨が柔らかく、治癒力も高いため、比較的簡単に行えます。
年齢を重ねるにつれ、歯根が太くなる傾向にあり、手術が難しくなるため、身体への負担が大きくなるためです。そのため、状況を踏まえた上で、手術時期は早めの方が良いでしょう。
以上のように、親知らずの状態や生え方によっては、抜歯が必要となることがあります。症状が出る前から、定期的な歯科検診を受け、親知らずの状態を把握することが大切です。
親知らずの抜歯が不要な場合
親知らずは必ずしも抜歯が必要というわけではありません。親知らずの生えている位置や状態によっては、そのまま残すことができる場合もあります。
問題なく生えている
親知らずが正常な向きで十分なスペースを確保して生えている場合、抜歯は不要です。生え方や位置に問題がなければ、普通に噛み合わせや歯並びを保つことができます。
適切な歯科検診を受け、定期的なブラッシングやフロッシングで清掃していれば、親知らずを残しておくことが可能です。
治療の必要がない
親知らずに虫歯や歯周病などの症状も見られず、そのまま残しておいても支障がない場合は、抜歯は避けた方が良いでしょう。親知らずが健全な状態なら、無理に抜歯する必要がないからです。
ただし、親知らずは奥の方の歯なので、徹底した口腔ケアが欠かせません。適切な予防処置を怠ると、虫歯や歯周病の原因になる可能性があります。定期的な歯科検診を受け、親知らずの状態を確認するようにしてください。
親知らず抜歯の流れと注意点
親知らずの抜歯は、一般的な抜歯よりも複雑で専門性が高い処置です。適切に対処しないと、様々なリスクが伴う可能性があります。親知らず抜歯の際は、以下の点を覚えておきましょう。
- 抜歯時の痛み・腫れのリスク
- 上あごと下あごの抜歯方法の違い
- 止血と経過観察
抜歯時の痛み・腫れのリスク
親知らずの位置は奥深くて歯根が複雑な形状をしており、歯茎を切開する場合もあるため、抜歯の難易度が高いです。
しかし、抜歯は局部麻酔で行われるため、抜歯中は痛みを感じることはありません。ただし、麻酔が切れた後は痛みや腫れが出ることがあります。
痛みの程度は個人差がありますが、数日から1週間程度続くことが多いです。腫れは、2〜3日後にピークに達し、1週間ほどで引いていきます。
痛みや腫れを抑えるために、術後に冷やすことや痛み止めや抗炎症薬を服用して、症状を和らげることができるでしょう。
上あごと下あごの抜歯の違い
上あごの親知らずの抜歯は、比較的抜きやすく治りやすいです。一方、下あごの親知らずの抜歯は、抜きにくい上に治りにくく、とても危険度が高いです。
下あごの親知らずの近くには下歯槽神経(かしそうしんけい)があり、傷つくと下あごからほほにかけて麻痺が生じることもあります。神経損傷の危険がある場合は、CT撮影などを行い、十分に精査して抜歯をすることをおすすめします。
止血と経過観察
親知らずを抜歯した後は、洗浄し傷の大きさにより縫合します。出血や腫れを最小限に抑えるため、ガーゼを当てて圧迫止血を行います。
その後、数日間は食事制限や経過観察が必要になり、抜歯部位にできるかさぶたのような血餅(けっぺい)の状態を確認しながら回復を待ちます。強いうがいや歯磨きなどは控えておくようにしてください。
親知らず抜歯の方法と対策
親知らずの抜歯を控えている人は、適切な方法と対策を知っておきましょう。事前の準備と処置を怠ると、手術中や回復期間に様々な問題が生じる可能性があります。
状態の確認
歯科医師と一緒に、ご自身の親知らずの状態を把握することが重要です。例えば次の通りです。
- 親知らずがどのように生えているのか
- 虫歯や歯周病の兆候はないか
- 手術時のリスクはどの程度か
必要に応じて、レントゲン・CT撮影などの検査を受けることをおすすめします。親知らずの状態次第で、手術の難易度やリスクが変わるからです。
静脈内鎮静法で痛みを軽減
親知らずの抜歯は、強い痛みをともなう場合のある処置です。患者の不安を和らげ、痛みなどの負担を最小限に抑えるために、静脈内鎮静法を選択する人が増えています。静脈内に鎮静剤を投与することで、寝て起きたら手術が終わっているので、痛みを感じにくいからです。
ただし、副作用のリスクがあり、呼吸抑制などの重大な合併症が起こる可能性もあるため、事前に詳しく説明を受けましょう。十分な検討を重ね、医師と相談して適切な方法を選んでください。
親知らずの抜歯は、比較的大がかりな処置になります。リスクを理解し、事前に様々な対策を立てることで、手術をスムーズに乗り越えられるでしょう。
まとめ
親知らずは多くの人が最後に生える永久歯です。生え方や状態によっては抜歯が必要になる場合があります。抜歯の際は適切な時期と方法で対処することが大切です。
蔵前ベリタス歯科では、痛みの少ない治療に注力しています。麻酔の痛みを軽減する対策として、歯茎に塗る表面麻酔薬、細い注射針の使用、電動麻酔注射器によるゆっくりとした注入、さらに術者の技術による痛みの抑制など、徹底した配慮を行っています。
また、歯科用CTを使った詳細な検査を行っています。CTは3D高画質画像により、デジタルレントゲンでは分からない骨の状態や、血管・神経の位置まで正確に把握できます。親知らずと神経の位置関係や、神経の本数・形状、根の先の状態などを確認し、安全な抜歯が可能となります。
親知らずの状態を正しく把握し、痛みに配慮した上で適切な判断と対応を行うことが何より重要です。蔵前ベリタス歯科では、親知らずに関する総合的な検査と治療を提供しておりますので、ぜひご相談ください。
蔵前ベリタス歯科 KURAMAE VERITAS DENTAL CLINIC
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